2016年 08月 23日
1.北から南へ延びる参道と楼門 プレアヴィヒア寺院はカンボジアのタイ国境のあたりから800mにもわたって北から南へと一直線に伸びる参道を持つ寺院である。 参道は第2楼門を過ぎても長く続く。それにしても廃墟であれば草が伸び放題であろうにここは敷石の間の草もコントロールされているようだ。現地の人たちが数人草むしりや石の管理をしている様子が見られた。 9世紀にクメール王朝が創建。 ヒンドゥー教のシヴァ神を祀る寺院として始まるが、その後数世紀にわたって増改築が行われた。現存する石の建築は11世紀前半のスーリヤヴァルマン1世、さらに12世紀前半のスーリヤヴァルマン2世の治世に増築されたものである。ヒンドゥー教が衰退したあとは仏教寺院となった。 なお、クメール王朝の建てたアンコールワットなど多くの建物が東向きで東西を軸にするものだ。 ところがここは南北に軸があり、それに沿って参道と5つの楼門が並んでいるのだ。そして楼門を越えるごとに海抜は上がり、北の端から南端まで来ると寺院敷地内だけでも標高で120mも上がるようにできている。 まっすぐな参道のイメージとしては、鎌倉の鶴岡八幡宮のイメージがある。 由比ガ浜海岸から鶴岡八幡宮まで順に南から北に向けて一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居と並んでいて、二の鳥居から三の鳥居までは段桂があり、そこが廻りよりも盛り上がった参道になっている。そしてもちろんさんの鳥居から先も階段下まで参道となっていて、その大階段を上がると本殿がある。 全く異なる宗教であり、参道は南から北に向かっているが、南北を軸にした参道の作り方にイメージが重なる。 2.海抜625m カンボジアの大地は何と緑が美しいのだろう。灌木と草とで鮮やかに緑が広がる。濃いところは上空の雲の影である。 なんと、木々も生命力にみちていることか。 プレアヴィヒアの価値は歴代の王はやはりここを要衝の地と考えていたであろうが、それでも平和時の景観は心地よい風景であったに違いない。 ◆一番高い位置から見るとそこから先は絶壁であって、それ以上とびだすと転落の恐れがあるところにロープが張ってあった。 ロープの先の子ザル、う~んと足を伸ばして伸びをしていた。 親ざるだろうか、子ザルを寝かせて何やら毛づくろいなのか、ノミ取りなのか・・・、 野生のサルたちはそこから先に人がくることはないので安心しきって日常生活をしているのだった。 ◆ぐるりと眺望 写真はその一部しか写せないのだが、実際はもっと広がりのある景観である。 視線を動かせば、270度くらいは見渡すことができる。 しかも雲はモクモクの真っ白な雲と上空に灰色雲が疎らに出てきてはいたが、 それでも晴れていて、空気も透き通っていたのだろう。 その広い視野全部が地平線まで見渡すことが出来た。あぁ、気持ちがよい。こんな光景初めて見た。 この山を下りる時には、すでに灰色雲が下がってきていたので、午後はやはりここの視界は雨で閉ざされてしまったに違いない。 このあと、何度も経験することになるのだが、やはり現地の人は雨が降る、スコールがくるという状態をよく把握している。時刻は経験から、雲の種類と動きもよく見てあと少しでスコールになるから傘が必要などと的確に表現していることに感心した。
by miriyun
| 2016-08-23 00:45
| カンボジア
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Comments(2)
プレアヴィヒアがこんなにすばらしい眺望の所にあるとは知りませんでした。
今はカンボジア側からしか行けないことも。 思えば今のカンボジア、ラオス、タイの国境辺りは昔からいろいろな王朝が陣地の取り合いをしていたんですよね。 アプローチが大変そうなので、ここは足腰が弱ってからでは行けませんね。
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Commented
by
miriyun at 2016-08-28 00:58
Luntaさん、プレアヴィヒアはこの位置にあってカンボジア平原もタイ側の平原も見渡すことが可能な要害の地であるだけに紛争の元にもなるのでしょう。
ようやく落ち着いてきたこの地を訪れたのは、以前の様子から考えると奇跡のようです。 |
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