2013年 03月 29日
アカンサスの葉 アカンサスは古代ギリシア・ローマで多用された装飾のもとであるのに案外地中海周辺で見かけることがない。ヨーロッパではヒツジやヤギが食べつくしてしまうともきいているが、そのせいなのか。 日本でハアザミというくらいで、アカンサスという名前にもトゲという意味が組みこまれている。葉の先端のとがっているところがよほどのトゲかと思いきや、実は夏に出てくる花の苞(ほう)がまるで食虫植物のトゲのような形なのだった。 奈良で発見された鹿に食べられないためにトゲを増やした植物のように進化していればこの植物も食べつくされることはないのかとも思った。だが、実際の大きさは想像以上でこんな葉のすべてにトゲに変化することは無理だったのだろうと考え直した。 なかなか大きいアカンサスに出会えないでいた。ところが意外なところで見つけた。 わさわさと茂るアカンサス 鎌倉の光則寺敷地内の土手にはヤマブキが今咲き誇る。 見て歩いていると、ヤマブキの下に押されながらつやのある葉が生えていた。花の寺光則寺ではどの植物ものびのびとよく生えている。 ヤマブキの和のイメージとは異なる葉だと思いながら進むと、さらに大きな葉がワサワサと茂っていた。 それはなんとこれまで探せずにいたアカンサスだった。 ◆そう、だいぶ前にローマ建築の柱頭に現れる葉として以前に紹介したが、ごく小さな株を植物園で見ただけなので、のびやかに育ったアカンサスを見てみたいものだと思っていたのだ。 うれしいので、そのワサワサ感をたっぷりと入れながら、以前の続きとして今度はアカンサスの大きさ・のびやかさ・装飾性を見直してみたい。 こちらはエフェソスのよく形が残っている柱頭。遺跡の柱は青空によく映える。 アカンサスはギリシアの国花とも言われるが、その割には少ない。以前はたくさん自生していたからこそ、文様・彫刻に多用されたのだろう。 夏場乾燥して暑いのが地中海だ。その周辺国ではこのアカンサス・モリスは濃い緑大きなつややかな葉をぐいぐい伸ばす。 いくつかに葉先が別れている点も装飾的によい。 ボスラー遺跡の劇場内の柱頭。平面に彫刻しても大ぶりで生命力あふれる葉になる。 こちらは柱ではなく何らかの台座。オリーブの輪の飾りを中央にして、角にはアカンサスの葉を装飾彫刻しているが、角を飾るにも一枚の葉で角全部を装飾できる。こういう肉感的な迫力のある彫刻はいくら大事な植物であってもオリーブや小麦ではできない。 彫刻にするにはやはり生命力や力が籠められる植物がいいのだ。 おそらくギリシア・ローマ文明の時代を通じて、こうした地域におけるもっとも装飾に適した植物だったのだ。 最後にこの葉の長さを縦に見るとゆうに60cmは超えている。根元から長さは1mはある。よくここでのびのびと育ったものだ。 ↑ 一日一回、ポチッと応援していただけると励みにもなります 人気ブログランキングへ
by miriyun
| 2013-03-29 16:37
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Comments(4)
ローマ遺跡でおなじみのアカンサス、実物を初めて見ました。
しかもそれを鎌倉のお寺で発見されるとは! ずいぶん大きな葉っぱなんですね。 しかしMiriyunさん以外にこれに気付く人はいないでしょう。 さすが!
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petapeta_adeliae at 2013-03-30 13:09
エフェソスの柱のモチーフが日本で自生していたんですね。
これから月一、鎌倉に行くので帰りに寄って見てみます。 miriyunさんよく気がつかれましたね。 近所のマンションは4月末には山吹が咲き、出社前に見ると 元気を貰えます。
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miriyun at 2013-03-31 15:27
Luntaさん、植物園で小さな株しか見たことがなくて、これでは神殿などにすべてこの文様を組み込んだ生命観が伝わらないとおもっていたのです。
私も初めてこんなにのびのびしたアカンサスをみて、 これならば彫刻の代表的植物文になったのがわかる・・・とおもうことができました。
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miriyun at 2013-03-31 15:29
ソーニャさん、これから6・7月になると大きな花茎が伸びてきて花を咲かせるはずです。アカンサスは20種類くらいあるそうで、花の色も異なるようなので見てみたいと思っています。
ソーニャさんももし機会があったら、紫が咲くか、白が咲くかご覧になって見てください。 |
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