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2012年 12月 09日

GPF ドラマティックに黒の道化師*高橋大輔

 フィギュアの選手たちがひとまず目指してきたのは、1年3か月後にあるオリンピックの地で行われるグランプリファイナルだった。ソチに直行便はない。乗継をしながらいかなければならない・気温・風土・環境や食事場所にアップの場所まで、勝手がわかっているところとそうでないところでは心の準備が違う。

ソチのリンクに立つ   
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 今シーズン、選手たちがひとまず行きたいとめざしたリンクがここだった。フリーが終わってリンクから上がるところ。背景には12000人が入れる客席と競技リンクが見える。
 照明は煌々と明るい。今は空席だらけのスタンドだが、きっとオリンピックには埋まるのだろう。音響はNHK杯が素晴らしかったせいか、今一つなのではと思うが、現地で見られた方はどうだろうか。


ジャンプは4-3成功
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1回目の4回転、まわりきっていたが、降りたつ足のエッジが深すぎて不自然に斜めっていたので体勢がたもてなかったように見える。しかし、4回転は跳べている。
2回目はコンビネーションにしなければならい。これまで4-1とか4-2とかになっていたっが、とうとう4-3をきれいに入れることができた。
 残念なのは得意な3Aがなかなかきれいに決まらないこと。前年度は3回転半ー3回転で大きな得点源になっていたし、演技中盤で大いに盛り上がるところであったので、これが4回転の確実性とともにこれからの課題か。

◆エッジが深い・・・よくこんな姿勢とエッジで普通に滑っていいられるなという形をよく見る。
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笑顔が戻ってきた
 JOのときに前半の演技の中で見えた笑顔、道化師が演技をしていますというように見えた笑顔がオペラのドラマをあらわしていてこんな複雑な笑いも表現するとは、恐るべし高橋大輔と思ったものだ。その後競技になっていくと笑顔はなくなってしまった。不調だったからか、解釈によるものか不明。

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 しかし、今回のは前半には笑顔も自然に入れることによって終盤の苦悩と狂気を出すことにしたのかもしれない。何しろ笑顔が戻ってきたのは喜ばしい。最初から最後まで重い演技よりもずっとメリハリがでてくる。

苦悩と激情 
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う~ん、ぐいぐいと劇中に引っ張り込まれる。

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音に合いすぎ

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ジャッジ側から対岸へスピード感を以て苦悩のカニオが行く

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そらし具合が、スピンの終わり方が情感を高める

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もちろん指先は・・・なんて自然に美しく表現することか。

一番の苦悩を表すのは最後のリンクを手を交互に空を掴むかのように差し出しながらハイスピードでステップしていくのが圧巻!
 大ちゃん、確かにスケールの大きい演技をしている。それも演技終盤にとんでもないスピードで回りながら演技はどんどんと高まる。とてもすてきだ。
 シェイ・リーンの呼びかけが聞こえてきそうな演技だ。

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終わりの表情も道化師の最後の場面としてとてもよい。
     (願わくは素顔の戻るのはもうちょっとまって、余韻を残してほしいが)



翻訳版動画&表彰式 ・・・動画主様、お借りします
◆高橋大輔 翻訳版(CBC)


◆翻訳版(British Eurosport)

日本語訳がありがたい。解説の言葉をこうして味わうと、いかに大きな期待を持ち待ち受けているか、そして実際素晴らしかったと絶賛しているのがわかる。


◆3Aを中心とした不安定さや失敗があるので、まだまだ本人も満足していないし、得点を待つ間にも実に不安そうだった。モロゾフは常に点数計算しているのか得点が出たとたんに、もうダイスケの勝ちだぞというそぶりをしていた。

 そして、172点以上が欲しいところ177点をとって優勝した。
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 日本男子初めてのグランプリファイナルでの金メダル。それが出場回数7回目で、しかも銀メダルに甘んじたことが2回もあって残念なことが多かった高橋選手がとうとう頂点に立ち、また、追い上げてきた後輩たちもかわしての優勝、歌子先生とモロゾフと本当にうれしそうだ。

なお、フリーの1位はフェルナンデス。彼は4回転を3回こなして高得点を得た。ショートとフリーが揃えて出せるようになったらほんとに怖い存在だ。
 
 ソチのホテルの様子の厳しさや競技用アリーナにアップする場所がないなど環境的にもl厳しかったりする中で、やはりロシア人モロゾフがいることは安心であるし、また、気心が知れているという安心感がある。
 アドバイザーという立場でのチーム高橋への参加だったが、実質は以前より遠慮深いコーチという感じだ。
後半の3回連続ジャンプのところでモロゾフが一緒に跳んでいたのが、今はもうそれも微笑ましい。

◆男子の表彰式

*高橋大輔は常に技術的な向上、パフォーマンスの向上をしてきているし、周りの追い上げも痛く感じている。昨年も常に羽生くんの成長ぶりを見つめ、今年は日本人の上位5人全部を見ているだろう。厳しいと自らも言いつつもそれに合わせて、決して守らず攻めの姿勢で来るところが勝利につながった。

 もちろんだれよりも次の課題を見据えてやっていくのであろうから次の全日本・世界選手権、見る方も常にドキドキである。
 全日本・・・かってない激戦、GPFや世界選手権に近いほどのレベルの高さの中での戦いとなる。

発展途上中・・『道化師』
◆オペラ「道化師」は人の心理と激情をあらわしたものなので、演じ方次第でいくらでも異なる雰囲気にできる。
 黒い衣装になり、道化師をイメージするものは何もついていないにもかかわらず、もう衣装に頼らずとも日本のファンはもう道化師として意識的に見ることができるだろうし、ヨーロッパのファンなら音楽を聴いてそれと察ししてくれそうだ。
 
 高橋選手は映画やオペラが元であっても、その通りの物語として演ずるわけではない。その時その時の解釈や曲そのものを感じた通りに演じていく。だから笑みひとつとってもその時々によって消えてしまうこともあれば複雑な奥のある笑みであったり、今回のようにさっぱりした笑顔であったりする。

 あと3回か4回か、その間に見せてくれる道化師はどんなものになるのだろう。

 道化師カニオの苦悩が、
      高橋の体と手足と目の光となって次第に形を成していく。
                   そんな過程をいま、私たちは見ているのだ・・・。

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by miriyun | 2012-12-09 18:08 | Comments(6)
Commented by petapeta_adeliae at 2012-12-11 21:17
最後に見たスケートってフランスの黒人選手ボナリー?!
女性選手に比べて、なかなか世界的評価のなかった男性選手だった
ので、ひとごととは思えない清々しさを感じました。

女性選手は優美、男性選手は技術さを求めていましたが、
今は難易度の高いモノを何度もこなさなくてはならないんですね。
あの固い氷の上でジャンプして膝を悪くしないのかと心配になります。
Commented by 谷間のゆり at 2012-12-12 17:56 x
ソチに行かれたのですか?羨ましいです。miriyunさんのお陰で高橋選手の事に詳しくなりました。振り付け師の事、音楽の事、私が見ていると、ミスが出ることが有って、今度も結果が判ってからしか見ていませんが、昔に比べて選手の技術が上達している事に驚いています。
Commented by miriyun at 2012-12-13 00:27
ソーニャさん、技術を高めるためとはいえ、やはり競争社会なので、次々とハードになっていくのが加速しているようで、男子の競技は見ごたえがありますが、怪我をしないかとひやひやもしてしまいます。
ボナリーは女性だったのでフランスの清々しい選手って、誰だったのでしょうね。メダリストにならなくても残る選手っていますよね。
Commented by miriyun at 2012-12-13 00:32
谷間のゆりさん、もうバンクーバー時代のメダリストたちの演技と比べてもすでに技術が何段階も進んでいるのがわかります。
その技術の進化を正しく見極めて自分自身も高めていく選手達ってすごいものですよね。ソチには行きたいと思っているだけで遠いし、日数もかかるので無理だとあきらめています。せめて日本で見ていきたいですね。
Commented by yu-ka at 2012-12-13 22:42 x
初めまして。たまたまこのブログに辿り着きまして、その文章の上手さに、ぐんぐんと惹きこまれて読ませていただきました。大輔くんは、このオペラも見たことがなく、ストーリーも知らないと、雑誌で言っておりました。まさに、大輔くんが感じたままの音が、糸をつなぐように、世界が出来ていって、そこに、彼が考えている「観客も舞台のひとつ」という思いが、観客のにも伝わって、観客の心と、大輔くんの心と、そこに生まれる音が、あの、戯曲パリアッチョを生んでいるのだと思っています。
一秒も狂いのない彼のスケートは本当に気持ちいいですね。
ただただ、心地いいです。
Commented by miriyun at 2012-12-15 18:05
yu-kaさん、ようこそ!!
拙文に応援をいただき、これからも大ちゃんについて書いていくことを
励ましていただいたようで嬉しいです。
これからも畑違いながら、感じたままに大ちゃんについて語っていこうと思います。今のフィギュア界は優れた選手が次々と現れ、切磋琢磨していて、技術も向上して素晴らしいですね。
でも、100回でもリピしてみたくなる見ていての心地よさと
アートとしての完成度の高さはほかにはないと感じています。


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