2010年 10月 17日
渡部陽一さん 先日、シリアに行っている方から渡部陽一さんのブログでレバノンの様子が紹介されていて大変なことになっているらしいと連絡をいただいた。 5日の日に、レバノン人シェフに、戦争の時の話を聞いたばかりだったので、「えっ!またか?なにがおきたのか」・・・と非常に心配した。 だがそういうニュースはないので、ひとまず調べてみた。 すると渡辺さんのブログに確かにレバノンの爆撃されてめちゃめちゃに壊され、悲嘆にくれる住民達、壊される日常といった写真がたくさん載せられていた。 でも、読んでみると、渡部陽一さんは戦場のカメラマンとして戦場に行っているときはもちろん撮影と準備とに専念しているのだが、日本に返ってきているときにその撮影した戦場の真実を一日に数枚ずつアップしているのだということがわかった。(今はアフガニスタン従軍記録に変わっている) 渡部陽一さんのブログ「戦場からこんにちは」 ご存知のように「私は~・・・なのです。~のときは・・・します。」というような独特の語り口でゆったりした話し方をする戦場のカメラマンとして、最近TV番組にたくさん引っ張り出されている。 とつとつと真面目に答えるトークは確かに面白い。 バラエティ番組の中でニコニコしていじくられているだけの渡部さんに島田紳助が言いたいことを言わなくちゃだめですよ。出演する条件に30秒くださいとか言わないといじられているだけですよといって、わざわざ、好きなようにしゃべる時間をあげた。すると戦場の真実を見せたくて撮影していることから、被災者への思いをとつとつと語ったのは最近のことだった。 戦場を走るうちにカメラマンさえ殺伐としてきてしまいそうな激戦地にあって、並みの人々よりずっとスローテンポでしゃべり、とんでもなく丁寧に話す渡辺さんは、ともすると「戦場のカメラマン」という言葉だけは覚えられても、その本質はわからないままである。 だが、彼の本質はやはり写真にある。 ( ↑ 紙で覆ってあるカメラ。2枚の写真は10月18日のさんまの~というTV番組を撮影して引用した。) 実は、カメラほど兵器と間違われやすいものはない。 黒い本体、丸いレンズがこちらに向かって動く。光をぴかりと反射する。 兵士はその光に向かって撃ってくる。したがって、戦場のカメラマンは皆何かしら工夫しているのだ。 渡部さんはいう。「撮る時以外はレンズは下を向けておく。 カメラは黒い厚紙で覆っている。」 カメラそのもののテカリを押さえるためだ。 最近彼のブログに掲載されていたのはイスラエルがレバノンに侵攻したレバノン戦争の時のものである。 1996年7~8月のことだった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 私はこの時、シリアにいた。そして案の定、レバノンからの難民がシリアへの3本の道路に押し寄せ、特にダマスカスへはレバノン難民が押し寄せたのだった。自分がダマスカスで定宿にしている安いホテルにもレバノン人がきていた。また、道路にはレバノンのヒズボッラー支持を意味する黄色の旗がはためいていた。 そして、その中でシリア人がやっていたこと、難民となったレバノン人を受け入れるためにボランティアがたくさん故郷へ向かった。渡部さんの写真にもあった爆撃を受けるレバノン側の道路、そこから傷つき助けを求めてくるレバノン人をシリア人は全面的に受け入れていたのだ。 そこで、そのボランティアをやっている人の話を日本の人にも知ってもらうべく特集したことがある。 しかし、戦場になっていたレバノンには戦争中はもちろんその後もいっていない。だから、日本の中のニュースでは聞いていても、実際どういう状態なのかを聞いていないのだった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ あれから随分たってしまったが、そういうじぶんが今、渡部陽一さんの写真からレバノン戦争とはどんな状況だったのか、はっきりと見つめることができた。できるだけ、戦争報道で報道されることの少ない市井の人々の姿を伝えようという趣旨のブログであるので、共感できる。 このゆったりのんびり話す目のやさしい渡辺さんが戦場で何を見て何を思い真実のを瞬間をきちんと切り取ってきているか、是非見ていただきたい。 『戦場のカメラマン』が何を言いたいのか、写真からはソフトな口調からはわからないものが力強く伝わってくるのだ。 ◆ なお、渡部さんは、公式HPのなかで、戦場カメラマン全てにとって永遠の課題であること、すなわち、目の前の助けを求めるものがいたらどうするかということについて、彼なりの答えを出して書いていた。 かって、ケヴィン・カーターという写真家がハゲタカと少女という題材で撮影した写真でピューリッツアー賞を獲得した。 ハゲタカに狙われた少女を助けるのが先か、 世紀の一瞬を撮影して世の中に訴えるのが先か ・・・・という論争が起きたのは有名な話である。 生と死の狭間で働く戦場のカメラマン、その論争は果てしなく続くのであろうし、どのカメラマンも自問自答していくものであろう。 その中で渡部陽一は、まず助けられる人を助けてから、撮影する道を選んだカメラマンであることをお伝えしておきたい。 ⇒ ⇒応援クリックお願いします。
by miriyun
| 2010-10-17 17:32
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Comments(14)
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ジョー
at 2010-10-18 03:11
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凄い方がいるものですね。
感心してしまいました。 プロはあくまでも公平な視点で...。 格好良かったです。
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miriyun at 2010-10-18 23:13
ジョーさん、自分の撮りたいもの・訴えたいものをもち、しっかりとした撮影の方針をもつカメラマンはどの分野の人もみごたえがありますね。
渡部さんのこともその一人として確認してみました
渡部さん出演のテレビを見て直ぐに、覗いた此処に渡部さんの事が、不思議な感じがしました。大声で語らない人の方が、強い信念を持っているのですね。
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miriyun at 2010-10-20 03:18
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ladakh_story at 2010-10-20 08:37
レバノンの件、すみませんでした。渡部さんの事をあるジャーナリストが日本で10本の指に入る戦場カメラマンだと言ってました。
シリアブログ、少しずつ更新しています。 http://jivejack.blog33.fc2.com/
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miriyun at 2010-10-20 14:54
ladakhさん、お知らせ下さったおかげで渡部さんの写真に接することができました。
そこで見たのはレバノン人のシェフに聞いた話そのものといえるようなの光景でした。 また、渡部さんのカメラマンとしてのスタンスを知ることができました。教えていただいてとても嬉しかったです。
とても素敵なブログで 楽しく拝見しています。
レバノン…少し前、池上彰さんが 行ってこられたようで ラジオで 帰国したばかりだと話されてました。 あの国に関しては 日本人は遠い話で…報道も詳しくなさそうですね。
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asiax at 2010-10-23 18:48
私も伸介さんの番組に出演されたときのを拝見しました。
伸介さんは口はちょっときついですけど(笑)、でも人へのやさしさや思いやりはいつも感じてます。 渡辺さんをはじめてTVでみた時、その人柄から戦場カメラマンだとは思わなくて、動物写真家だと思ってたんです。 でも、伸介さんの番組を見て、戦場カメラマンとしての活動をはじめてみてとても感銘を受けました。
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miriyun at 2010-10-24 17:36
霧のまちさん、ありがとうございます。
イスラーム地域の自然や歴史・生活について書いております。 人々の温もりを少しでも感じていただければとてもうれしいです。 レバノンは古代から周辺諸国に翻弄されている所ですが、戦争は二度とおきてほしくないものです。
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miriyun at 2010-10-24 17:59
asiaxさん、そうですよね、あの司会者の根底には暖かいものがあるから多くの人がその笑いについていくのでしょうね。
渡部さん・・・動物写真家だったら誰もが納得ですよね。 私も戦場のカメラマンというのはその仕事をしている間に もっと鋭い目つきになってしまうのかなと思っていました。
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yokocan21 at 2010-10-25 17:09
お久しぶりです!
ブログ留守中は、何度も気にかけて下さってありがとうございました!私は元気にしております。 渡部さん、日本帰国中に、何度かTVで見かけました。あのひょうひょうとしたキャラクターとは似ても似つかない、戦場カメラマンというお仕事。お笑い番組に出てられることが多かったせいか、なかなか実感が湧かなかったんですけど、こうして紹介して頂いて、彼の素晴らしさをわかりました!いやぁ、有難うございます。 TV出演を通して、戦場がどのようなものかということを、日本の人たちに伝えること、とても大切なことだと思います。日本にいると、なかなか戦争なんてイメージできないですから。 そして、「まず助けられる人を助けてから、撮影する道を選んだカメラマン」という渡部さん、益々応援したくなりました!
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mitra
at 2010-10-26 17:26
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彼の、あまりにもバラエティー向きの語り口とキャラのせいで、彼の写真への視線が、かえってなおざりにされてしまいそうですね。
助けられる人をまず助けてから…、彼のそのモットーは、とかく報道という現場では忘れられがちだと思います。その優しく暖かい視線と共に、彼がファインダー越しに眺めた風景も、お茶の間に届くといいですよね。
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miriyun at 2010-10-27 23:34
yokocanさん、お帰りなさい!!!
新聞に伝えられるのはほんのわずかなことで、実際に何がおきているのかを知るのはこうした戦場写真家がいないとわからないわけです。 TVでこうした写真ももっと見れる時代になるといいですね。
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miriyun at 2010-10-28 00:08
mitraさん、ほんとうにそうです!
バラエティでいじられるだけでなく是非戦争現場での様子など、 出演するたびに紹介してくれればと思います。 戦争報道というのは、どこかで見ろ!と突き出されないと見ないことが多いものです。 |
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