写真でイスラーム  

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2010年 09月 13日

あらまあ、残念!

中東・イスラーム地域を紹介してもうすぐ5年になろうとしている。それでも語り尽苦せぬほど魅力に富んでいる土地といえる。がっかりしたことは?・・・といわれれば、ある。しかし、多くは一般の住民には関係しないところでのもので、政治的・歴史的な点で残念と思うことはあるが、それをここで書くことはない。

 きょうは「あら、まあ!」ですんでしまう絵画に関するちっぽけな残念を特集してみた。


残念その1*動物タペストリー
 どこが残念かご覧くだされ!
あらまあ、残念!_c0067690_1830119.jpg


 ダチョウの書かれた革製のタペストリーに興味があって良心的価格でもあり、購入する気で近づいた。
あら、残念!!

 大好きなラクダが~~~、二つもコブをお持ちで、暑そうなラクダさんになっている。
いつもほんとにふしぎだが、中東世界でフタコブラクダものは、だいぶ減ってはきたが、まだところどころでこうして遭遇してしまう。
 気温と湿度が生育条件で全く異なるので、サハラでフタコブはありえない。
 図案をどこからか引っ張ってきたのか、ラクダだといったらフタコブと思っている国からの輸入物なのか?
販売している人に悪くて聞けなかった。どうぞラクダがヒトコブでもフタコブでも気にせず、サイやダチョウを喜んでくださるような方が手に入れますように!・・・と思って、そっとその場を去った。


残念その2*アヤソフィアの絵
 もう2年も前になる。
アヤソフィアをじっくりと見たあと、礼拝室の外の回廊の資料も見ていた。壁には大きな絵やポスターやスルタンの名をあらわしたモザイクに聖杯などが陳列されていた。
 その中に絵があった。明らかに見てきたばかりのアヤソフィアの壮麗なるドームとミフラーブの周辺を描いている。
 しかし、それは遠くから見た時から違和感があった。
頭の働きが俊敏ではない自分だが、何かが見えるときのカンのようなものはある。

あらまあ、残念!_c0067690_18301457.jpg

 近づくほどにその違和感が増す。
アブーバクルが逆転している。アッラーらしき文字も逆転している。それだけでなくドーム内の位置関係も微妙に違和感を覚える。

 まず、この絵を描いたのはヨーロッパ系の画家だろうか。
トルコの人がたとえ、アラビア文字をつかわなくなったとはいえアブー・バクルをこのように書くとは思えない。
 
 位置関係を検証すると絵が全く左右逆転していることがわかった。すると画家はきちんと描いていたのをこのように展示するための印刷をする時に文字の反転もアヤソフィアの位置関係もわからない人がこのように展示してしまい、それをアヤソフィア関係者と何万人にもなる観光客が見ることになったのだ。
 もう2年近く前のことなので、その後、直しが入っていればいいのだがと気になって仕方がない。


◆ちなみに反転してみたらすごくしっくりした ↓
あらまあ、残念!_c0067690_18301699.jpg


残念その3*絨毯の図柄
 中東は絨毯が名産!
 どこの国でも絨毯工房や販売店に連れて行かれることが多い。だが、見たとたんに、ここで言われることは眉唾と思うことがある。
 生命の木文様やミフラーブ文様が上下逆さにかけてあるのはもう論外。このような絨毯屋はほんとうの絨毯屋とは認められない。

 そして、更に文字が入れてある絨毯が上下逆につるしてあることだ。
絨毯への文字入れは通常国名・産地名・工房名がいれられていることが多い。しかし、優れた本物の絨毯屋はむろん商売物にある文字くらいは読むし、絨毯の産地と織りや染色・トライバルな柄・修理に至るまで実によく知っている。
 また、そういう研究もしないで絨毯の売り込みだけがたけていて、絨毯に織られている産地名や工房名とは異なる産地・工房だと言い張り、絨毯の文様についての知識もあやふやな絨毯屋もいる。(これ、結構多いんですよ)
 どちらが信用できるものを扱っているかはおしてしるべしだ。
 
 これは絨毯を愛し、中東を愛す自分としてはかなり残念なことだ。

                                        
                                                    
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by miriyun | 2010-09-13 19:02 | Comments(12)
Commented by yumiyane at 2010-09-13 19:15
ここがアヤソフィアなんですか、一度は行かなければと思っているところです。大きな寺院ですね。
当時の権力の大きさを表しているのですね。いつかこの目で確かめます。反対になってるかどうか。

らくだ、確かに、miriyunさんの過去の記事で確かめましたが、アラブ一帯にいるのはひとこぶなんですね。コブは栄養をためておくところと聞きました。大きくなったり小さくなったりするんでしょうか。
Commented by petapeta_adeliae at 2010-09-13 22:51
知識のない外国人が作成したのではないでしょうか?
反転された方が構図としてはシックリしますね。
ギャグ、間違った日本語のTシャツ着る外国人狙いなんてことはありませんよね。
確かに海外でありえない表現のものに出会うことあります。

香港の日本料理屋で、中国人オーナーが着物を着たウェイトレスをさして「完璧でしょ」と
問いかけてきました。よく見ると草履を履いてはいるのですが、足袋が三つ折りソックス
だったことがあり、思いっきり否定しましたが。。。
Commented by orientlibrary at 2010-09-13 23:00
最初の絵は脱力系というか、ゆる〜い感じですね。私はラクダの種類のこと、こちらで初めて知ったのですが、意外と知らない人って多いかも。イメージはフタコブですよね。
アヤソフィアの反転、たしかに左重心のは何かがひっかかりますね。文字もなんですが、何かぎゅーっと引っ張られるような、、右になると自然です。何かはわかりませんが、、。印刷時に反転してしまったんですねえ。
絨緞、愛や思い入れが出ますよね。アラビア語が読めると絨緞やさんも「この人はだませない」と気合い入れるかも!?がんばろう。
Commented by lunta at 2010-09-13 23:19 x
最初のタペストリー、間違い探しみたい。でも気が付きましたよ~、ラクダのコブの数。
スーダンのお土産でさえMade in C☆☆ってことですかね。
これもすごい。
Commented by 谷間のゆり at 2010-09-14 17:00 x
イラストレータと名乗っている人に、物を知らない人が多いですよ。何時か正月の場面の鼓を打っている人の鼓が左になって居たり、黒百合系のバイモの花が上を向いて書いてあったり。
そんな例なのでしょうね。
Commented by miriyun at 2010-09-14 20:44
yumiyaneさん、この絵に現されているのは、アヤソフィアのほんの一部なので、ローマ帝国からビザンチンへと続いた建築技術はすごかったということを体感できるところです。是非ごらんくださいね(^-^)/
ラクダのコブは、水と食料が手に入らない砂漠行などではみるみる小さくなってしまいます。
Commented by miriyun at 2010-09-14 23:37
adeliaeさん、こういうのは、日本でもどの国でも実はいろんな間違いがあるもので、外国で日本の格好をしているの9はかなり変である率が高いですね。007の映画でも変でした。
 日本の中でのイスラーム関係の本も上下や左右反転の間違いは度々ありますし、いずれもちょっと調べたりじっと見たリすればわかる残念なことでした。
Commented by miriyun at 2010-09-15 23:41
orientさん、印刷時の反転はどこでもたくさん起こりうることですね。でもそれをこの建築物関係者がそのまま展示していたところがちょっと残念だったのです。でも観光客も間違いに気づくかな?と鷹揚に構えているだけかもしれませんね。
Commented by miriyun at 2010-09-15 23:44
luntaさん、そうなんです。ドバイでもどこでもMade in C☆☆、おおいです。ラクダは種類が違うから、すぐにわかりますね~!
 アラブの皆様、そろそろさすがにフタコブが描かれた商品だけは輸入しないようにしていきましょう!・・・といいたいです。
Commented by miriyun at 2010-09-15 23:47
谷間のゆりさん、日本でも世界でも、こういうことは頻繁にありますね。
やはり知らないものの場合、調べる・検証する・・が必要ですね。
Commented by mitra at 2010-09-21 16:43 x
すべて、なるほど~と、思ってしまいました。
中東やイスラーム文化、あるいはアラビア文字に、少しでも親しんでいる人だったなら、すぐに気付きそうなことばかりですね。
多くの日本人観光客が、なんとなく誤魔化されて、いかがわしいおみやげ物や資料の類を手にしているんだるなあ。
Commented by miriyun at 2010-09-22 06:16
mitraさん、ここでは、中東で見た物を載せましたが、もちろんこの手の間違いは、日本の書籍の写真でも頻繁にあるものです。 つくづく注意が必要だねと思います。また、日本でもラクダはフタコブのイメージが強いようです。
 絨毯屋については団体にまとめて説明してなんとしても買わせようという売り込みの激しいところほど、通り一遍の説明しかしておらず、値段もその品質では考えられないくらい高いです。逆に無理な売り込みはしないでそれぞれの絨毯の由来や織りについてじっくり語ってくれるところは楽しいです。


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