写真でイスラーム  

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2009年 10月 28日

空飛ぶアルソミトラ

 ちょっと珍しいものをいただいたので、歴史からも工芸からも離れて自然の驚異編

 空飛ぶ~ 
インドネシアは世界一イスラム教徒が多い国で、熱帯にある。
その熱帯の密林にウリ科の植物があり、スイカとラグビーボールのあいだくらいの実がつく。その大きな実の中にごく軽い種が入っている。
空飛ぶアルソミトラ_c0067690_23104381.jpg

              ↑ 種は茶色。黒く見えるのは逆光であるためである。
 なお、これは自然にとんできたものではなくて、あえて飛ばしてみたものである。

 
空飛ぶアルソミトラ_c0067690_304939.jpg

中央のつるがアルソミトラ。(板橋の植物園で撮影)
アルソミトラはつる植物で巨木に絡まりながら成長する。十数mもの高さになると実がなる。

 ひとつの実の中に500もの種をもつという。
 植物は自ら動けないから、種を甘い果実に内蔵させ猿や鳥によって遠くまで種が運ばれるようにしたり、種がはじけて、木の下のあちらこちらに分散させるようなしくみになっていたり、タンポポのように綿毛でかぜを捉えてとんでいったりする。
 こうした種の存続のためのしくみは人から見ても参考になるような形態を生み出すことがある。
アルソミトラは種は薄く軽い。その種を中心として紙よりも遥かに薄い翼のような透明部分を持つ。写真は標本をいただいたのを飛ばしてみたもの。実際はもっとふっくらして風をはらむ。

 それが一枚ずつ飛散し、風に乗りフワリフワリと飛び続け、時には数km先まで飛ぶこともあるという。

 最も単純化したような翼の形状と、極限にまで近づいた薄さで見事な飛行を見せるこの植物を参考にグライダーが考え出される一因となった。そしてシトラス戦闘機もまた、空気抵抗の少なさに目をつけて参考にしたという。

 世界一の飛ぶ種、フライイグ・シード・・・植物一つにしても世界は広い!

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by miriyun | 2009-10-28 23:12 | Comments(2)
Commented by asiax at 2009-11-02 21:13
背景の空の映りこみといい、なんとも不思議で美しい画像ですね。
私はインドネシアは何度か行きましたが、このような植物ははじめて見ます。
最近は工業の分野でも植物や生き物の性質を利用して開発されるものが多いみたいですね。
Commented by miriyun at 2009-11-03 10:18
asiaxさん、こういう自然の不思議には心が揺り動かされます。
自然界の中で飛ぶ様を見てみたいものです。おっしゃるとおり、自然の植物や動物の体のしくみを利用したものが次々と考え出されています。こういう開発っていいですよね。蓮の葉の水滴を浮かすしくみなどもその一つでした。自然から学ぶものはまだまだたくさん眠っているように思いました。


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