写真でイスラーム  

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2009年 08月 19日

リキシャアートからバングラデシュを見る

バングラデシュの生活が見える!
 リキシャアートというのがあるのをご存知だろうか。
 
 インド・バングラデシュから中国まで広く日本から伝わり、独自の形に変遷して言った「リキシャ」がある。
バングラデシュではとくに派手に飾られたリキシャであり、リキシャのありとあらゆるところにきらびやかに装飾する。その中で車体の後ろに取り付けられるプレートに描かれた絵のことをいう。

 この絵が、なかなか楽しい。なぜならバングラデシュの生活が見えてくるのだ。また社会問題・風刺もあり深い。
 今、横浜でリキシャ展が開かれていて、その中でNGO ジョブジョバングラによるリキシャアートが展示されている。 


  
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                                               ↑ S.M.Samus作。
 スイレンを摘む姿が中心に描かれている。白いスイレンはあふれるほどあり、それを舟から手を伸ばし摘む。花瓶に飾るのではない。スイレンの茎は薄皮だけむけば生でも食べられる。蓮らしく茎も穴がはっきりした断面で、食べやすい一般的な野菜であるという。

 山は描かれておらず、平地が主で、水に即した生活が見える。

 水辺をさらに手前から奥へと見ていくと、まずは鳥たちが行き交う。そしてサリーのままカメに水を汲む女性。魚を取るため魚網を引く人、遊ぶ子どもへと目が移る。近景から遠景までバングラデシュの村の生活を想像し楽しみつつ見る。
 いい絵だと思う・・。

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                                                        ↑ R.K.Das作
 山がないバングラデシュで、困るのは建築工事に使う砂利も取れないこと。そのため、何と砂利に変わるものを女性達がたくさん集まってつくっている。なんとレンガを細かくなるまで砕いて砂利の代わりにする。炎天下、屋外で汗を流し、砕け散るかけらと粉塵の中での作業で危険もある。
 しかし、子供連れでもできる仕事として女性達はきょうもまた、この仕事にせいを出す。右端でタバコを一服しているのは監督官であろうか。

 左上の女性が運んできたのはお弁当。アルミの三段弁当はインドと同じだ。サリーといい、もともと広い意味でのインドとよばれていたところである。文化が似ているのは当然のことだろう。
 なお、カレーはインド同様、朝・昼・晩とカレーである。NGO担当者によると田舎に行くほどに辛くなるという。


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                                           ↑ S.M.Samus作
叩いて脱穀、籾殻は箕から落として風で飛ばす・・・日本のちょっと昔と同じ農作業が続けられている。はだしで暮らす人々。そして走り回る子どもたち。その頭上には人の頭の2倍もありそうなジャックフルーツがなる。青いのは野菜として食べる。熟すとフルーツとして食べるのだという。そして、河と田と家を注目。河が一定の時期になると増水する。しかし、一般的にはこの田のところまで、ちょっと水が出すぎても家の階段のところまでなのだろう。
 その土地の気候風土に合わせて村づくり・家づくりをしているのは当然だ。

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                                 ↑ Ahmed作
                                   絵の撮影・掲載の許可をNGOショブジョ・バングラから受けています。
 雨季の洪水の様子をあらわした絵は一段と目を引いた。
何しろ、バングラデシュといったら、狭い国土に人口があふれかえるほどで、そして密集した川が洪水を起こしていることはよく知られている。
 そうすると、これを見ただけで、これはたいへんな災害だ。押し流されて死んでしまうとばかりに日本の水害をイメージして必要以上に水害のバングラというイメージが強くなってしまう。

◆◆◆常にこのブログでもイスラーム地域についての情報で憂慮している面である。戦争・難民・テロ・災害・貧しさなどのニュースだけが流される。もちろんそういう一面があるのはたしかだが、それが間違っていたり、災害以外のときの人々の暮らしが何にも報道されないことによって日常の人々という視点が抜けてしまう。それを少しでもお伝えできればという思いで書いてきた。 
 バングラデシュについては訪れたことがないので、いっさい言及したことがなかったが、今回このリキシャアートを見ることによって、メディア報道にかけている部分を補う要素がたくさん入っていることに気づいた次第である。そのため、所有NGOの許可を受けて、多くの方の目にふれるようにしたいと思ったのだった。◆◆◆

 絵に戻るが、実はこれは水害で困ったという絵ではなく、毎年予定していたとおりにゆったりと増水してきて、それでも大丈夫なような家のつくりと小船の用意だとか、浅ければ家族で歩いて隣までいったりという日常の風景なのだという。(もちろん、報道されるような十年に一回のような大型サイクロンがきた時はこんな穏やかな状態ではありえない)
 たしかにそう見てみればコブウシもあわてず泳ぎ、母は幼子をたらいに乗せて移動させていく。そんなバングラデシュ毎年恒例の定期的洪水の風景なのだ。
 また、この洪水が田畑に新しい土を運び養分も与えることになる。ナイル川みたいなものだ。

こういった、メディアが伝えないことを、絵が伝える。貴重な絵だと思った。
                  *参考*各絵のキャプション、及び所有者であるNGOの方の説明を参考にさせていただいた。

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                 世界の自転車タクシー展

日時*2009年8月1日(土)~8月30日(日)  (月)は休み
                 10:00~18:00
場所*神奈川県立地球市民プラザ(あーすぷらざ)
      045-896-2299
アクセス*JR京浜東北線(根岸線)本郷台駅 改札を出て左へ2分
内容* バングラデシュ・インドネシア・カンボジア・フィリピンに関するリキシャーや、生活・衣装などに関する展示
     『リキシャアート展』・・・バングラデシュの展示にNGOジョブジョバングラの展示として壁一面に紹介されている。



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by miriyun | 2009-08-19 06:22 | Comments(6)
Commented by lunta at 2009-08-19 14:24 x
バングラのリキシャアート、楽しいですね!
バングラは行ったことがありませんが、パキスタンのリキシャやトラックもペンキ絵が楽しくて写真をずいぶん撮りました。
アメリカのフォークアートのようで、こういうのは普段の楽しい生活を描いているのでしょうから、おっしゃるとおり、洪水もレンガを砕く作業も「平和な日常」なんですよね。
なじみのない国への誤解がこういう楽しいもので解けたらいいですね。
Commented by miriyun at 2009-08-20 02:55
luntaさん、パキスタンのトラックの激しいのは見たことがあるのですが、リキシャにも同じように描くのですね。
今回初めてこの絵のことを知り、ぜひまだこの国を知らない人に豊かな自然と人々を知ってもらいたいと思ったのです。
仕事自体は大変な仕事なんでしょうが、叙情あふれる光景が広がっています。
色は中東よりはビビットで雰囲気は全く異なりますね
Commented by chai at 2009-08-21 02:30 x
バングラデシュに行った時にリキシャに乗りました。リキシャの後部には多分映画スターだと思われる絵が描かれていました。雨、風にさらされているので色あせはありましたが。街中では、多くのリキシャが走っていたので前を行くリキシャの絵をいろいろと眺めながら走ることができました。エンジンが無いので程よいスピードがいいですね。リキシャは、親方(?)から借り受けているものが多く、稼ぎのいい人は、自分でリキシャを何台も持ってオーナーとなっていく人もいるという話を聞きました。
Commented by miriyun at 2009-08-22 03:23
chaiさん、リキシャ体験の貴重なお話ありがとうございます。
乗ると自然に前のリキシャの絵に目がいくわけなのですね。
 そして、農村部で大地主と小作の関係のように、
都市部では、リキシャオーナーとリキシャ借手の関係があることがわかります。借りている人が賃貸料を払うのは大変なことでしょう。
Commented by moccosan at 2009-08-25 10:50
明るくって豊かな風刺絵 楽しい気持ちになりますね。
あっけらかんとした乾いてるのに愛らしいな~
近かったら行きたかったなぁ。
Commented by miriyun at 2009-08-27 00:19
もっこさん、金属板に描かれたこのようなくっきりした絵が40も並んでいて創刊でした。そして細部まで見ると日常の生活や考え方が見えてきます。
とくに風刺も悲壮でもなく、しかし必死で、とてもいい感覚で書かれていました。


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