写真でイスラーム  

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2009年 04月 12日

ボスポラス海峡海底トンネルと日本の技術

 2008年の金融恐慌により日本の輸出産業・建築・不動産関連もあえいでいる。
ただし、20世紀の世界恐慌のときとは違って無策ではないとは思うので、そこがどうなってくるのかまだ希望が残されているところである。

 大成建設というゼネコンがある。
日本の公共事業の激減後の事を考えて、中東への進出を本気で取り組んだ。中東ではこれまでに石油・天然ガスプラントや積み出し施設・空港など多彩に展開している。
 さらにドバイとのつながりを強くしようとしていたがそこにこの恐慌で見直しと責任が問われつつあるという。

 このゼネコンについては以前にイスタンブルの海底トンネル建設で取り上げていた。そこはどうなっているのだろう。

ボスポラス海峡海底トンネルは今・・・・       

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イスタンブールのヨーロッパ側とアジア側をつなげる海底トンネルは、潮流の激しさから工事が困難な場所であるため沈埋トンネルといって、11に分けて幅15.3m、高さ8.6m、長さ98.5~135m の函体をつくっておき、それぞれを仕切って1個ずつ慎重に海底におろす。GPS およびマルチビームを使用して次の函体も寸分の狂いもゆるされず置かれて行く。そしてつなげた11個が一つのトンネルとして貫通する。
 
 海上ではこの写真のように工事用の設備が置かれているだけのものであり、海底でこのような高度で困難な世紀の工事が行なわれているとは想像さえできない。

 ここを昨年取り上げ、詳しく解説したNHKはさすがだと思ったし、よくぞ解説してくれたものだと喜んだ。NHKの役割は、冷静に世界や国内を見つめ事実を伝えるとともに、こうした日本が誇りに思って良い技術と仕事を伝えることでもあると思う。

 その後、沈埋工事は無事終わり、昨年のうちにボスポラス海峡の海底、約1400mはアジア・ヨーロッパが歩いていかれるほどにつながった。
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                                       (↑ トンネル写真はNHK沸騰都市より、引用)
 もちろん工事関係者でなければ歩けないし、向こう側の岩盤にたどり着いただけであり、そのまま地上に上れるわけでもない。今度は陸地の地下工事が延々と約9km超の距離を複線分なので、総延長19km行なわれ、鉄道がつながるまでにはまだ長い道のりがある。地下工事は日本が作り出した有名なシールド・マシーンが使われている。これの存在はユーロ・トンネルの掘削に使われた頃から知っているが、回転しながら土をかきだしながら進む、超高度なモグラ機械である。

◆西から東へ向けて鉄道は通る。
 イスタンブールの、今はさえない国鉄の続きとして建設される。カズリチェシュメ駅から地下に入り、イェニカプ駅をへてシルケジ駅にいたる。この駅を出てすぐにボスポラス海峡に入り、そこの沈埋トンネルを進む。最深部は海面下60mであり、そこからトンネルは上り傾斜であり、1400m進んでアジア側につき、すぐにウシュクダル駅にたどり着く。(参考:(社)土木学会岩盤力学委員会ニューズレターNo.7)
 さらにその先はどこにつながるのか。まずはアジア側都市の住宅地の人達が簡単に通学・通勤ができる。その先どこにつながるのかは聞いていないが、将来的には各地の遺跡も陶器の町へもそのままのっていかれたり・・・。もちろん物流の動きは一気に加速するだろう。

*不況下とはいえ、このようにすでに発注され進行しているものについては、相手国の支払いさえ滞らなければ予定通り進んでいくだろう。施主が国であるから、要らぬ心配だろう。
 トルコにとっては、確実に経済効果が高くなるトンネルであるし、ユーロ加盟への弾みになるかもしれない。

◆これらの高度な技を駆使して、日本の企業が3年後には又一つ、仕事を成し遂げるはずだ。
ボスポラス海峡海底トンネル・・・まさしく『地図に残る仕事』になるはずだ。(大成建設の宣伝を引き受けているわけではありません、ただ、この言葉は好きなので)
 
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 ☆このような世界的なゼネコンであれ、下町の小さな町工場であれ、日本が誇りにしていい技術があって日本はのびて来た。
 恐慌といわれるこの何年かをいかに会社と労働者を生きのびさせ、技術を残させていくか、
そこにこそ政府の真の力量が問われてくる。

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by miriyun | 2009-04-12 14:06 | Comments(10)
Commented by yumiyane at 2009-04-12 23:48
miriyunさんの凄いところは、中近東のひとつの国に特別な思い入れがあるのというのではなく、イスラームの文化と人に対しての愛情というか畏敬があるところですね。
かつてあの輝かしい英知にあふれる文化を作り上げたイスラームの国々に、ふたたび平和と豊かな暮らしが戻りますように、と私も思わずにいられません。
Commented by yokocan21 at 2009-04-13 15:57 x
トルコの土木建築は、日本の技術なしでは語られないでしょうね。そして、日本からの技術者さん達と素敵な交流が出来たと喜んでいるトルコの方、大勢いらっしゃいます。技術と同時に日本の文化も伝えられている、とってもいいことです!
Marmaray(マルマライ)プロジェクトは、アジア側はカドゥキョイ経由、カルタルまで地下鉄工事が進められています。悠久の都も、交通の便が一気に加速化しています。
Commented by miriyun at 2009-04-14 22:26
yumiyaneさん、イスラーム地域そのものが自分を呼んでいるかのようにひき付けられてきました。いろいろなことをしているうちに今では人のつながり・ライフワーク・趣味すべてがつながっています。
 英知あふれる文化~そういうところをもっと伝えていきたいなと思っています。応援の言葉をありがとうございました!
Commented by miriyun at 2009-04-14 22:36
yokocanさん、トルコ人と日本人、困難な問題を力を合わせて乗り越えてきたと聞いています。一つのことを一緒に乗り越えることは信頼と友好の礎になりますね。
 世界の伝統のある大都市の中で、イスタンブルが最も変革を遂げているのではないでしょうか。着々と交通網が整備されつつあり、この海底トンネルの鉄道が完成したら是非通ってみたいと今から楽しみにしています。アジアとヨーロッパをつなぐ仕事を日本人・トルコ人が行なっている・・・格別な思いが高まります。
Commented by JOE at 2009-04-14 23:16 x
技術があっても使う場所がなければ、活かしようがないこと。
その通りですね。
活躍できる場所を模索していく。
大切なことかもしれません。
今日からまた復活です。
よろしくお願いいたします。
Commented by miriyun at 2009-04-16 06:21
ジョーさん、技術は伝えてこそ、使ってこその技術なので、
不況だからといって、町工場の珠玉の技が消えていくのも残念でならないことです。
 おかえりなさい、今週もよろしく!
 
Commented by Drimba at 2009-04-17 00:32 x
So beautiful piture
Commented by miriyun at 2009-04-17 04:18
Mr.Drimba,
Thank you for the comment about my photograph.
Commented by 霧のまち at 2011-05-18 10:47 x
miriyunさん  今さらですが ふと海底トンネルの事を調べてましたら
この文が出てきました。さすがmiriyunさん。
このT建設 実は娘の婿が勤務している会社です。 トルコの地にも知人が多く赴任と聞きました。 あと、ドーハの空港、ドバイ臨海地域。
婿は昨年までアルジェの高速道路設計で赴任していました。 地すべりが多くて工事は難航 赤字だそうです。 当時の前原国交相が急遽行って 国の事業として総括するよう話を付けたそうです。
まさしく地図に載る仕事ですが・・・工事以上にヒトの問題や治安モンダイもあって 日本にいては解からないコトだらけだと言っています。
Commented by miriyun at 2011-05-23 07:48
霧のまちさん、地図に残る仕事・・・身内の方もそれをされているんですね。
そこに行かなければわからない困難を乗り越えて進む勇姿を想像しました。
世界の各地で日本の優れた技術に出会うたびに、
その土地の人にも日本の人にももっと知らせたいものだと思います。


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