第6回アラビア語オリンピック
 毎年恒例のアラビア語オリンピックがアラブ・イスラーム学院において開催された。
アラビア語オリンピックは、タイピング部門、アラビア書道部門、スピーチ部門がある。
 今回ですでに第6回となる。イスラーム学院の生徒のみならず、広く一般にも門戸は開かれている。

 第1回は2004年に始まり、自分もそのときから参加し、第1・2・3・5回に参加していた。、今回は立場をかえての参加だったので、自分が書くことだけに集中するのと異なり全体の様子を見る余裕ができた。

 会場は例年どおりアラブ・イスラーム学院の会議室であるが、そこに入ってすぐにいつもと違って人だかりがしていることに気づいた。

◆ 本田孝一先生のオリジナル作品がいただける本田賞があるのだが、今年はなんと競技会場にすでにその作品が展示されていたのだ。

 参加者はこれを見て大いに意欲が高まったであろうし、見学の人も熱心に見ていた。中にはこれまでもアラビア書道が気になって本では見ていたが、オリジナル作品を見ることができてそれに魅了された、是非書道を習いたいという感想を言われている方もおられた。


 作品に書かれているのは、今回の課題である「神様は水からすべての生き物を創造された」という『クルアーン』の預言者たちの章、30節である。
 これを水滴の形にジャリー・ディーワーニー書体がきっちりと納められている。一本一本の線がなんとも美しく、見学者はその文字と色の世界にひき込まれている。水滴の周辺のぼかし、背景の青と線描の銀、用紙の輪郭には細い幅のエブルが使われており、作品のみならず台紙から額まで気を抜かないトータルデザインをしていることがよくわかる。            

◆ さて、アラビア書道部門は11時10分から1時間のうちに、6書体のうちから書体を選んで、その年の課題を書くというものである。
 始まる時間よりずっと早くからきて練習している人がかなりいる。時計をきっちりと見て、本田先生の合図によって全17名による書道部門の競技が始まった。

ペンの動きに人の目は集中する。同じ語句ではあっても、書体によってまったく違う。端正なナスヒーを書く参加者が多い。お稽古でナスヒーを集中しているところなので参加者は多い。しかし、ナスヒーの本文もさることながら、実は上に書くバスマラを安定して書くことがなかなか難しい。過去のアラビア語オリンピックではナスヒーのバスマラそのものが課題であったこともあった。
 力強いルクアもラインをきちっと整えると美しい。ディーワーニーはバスマラはまとめやすいが課題をいかに伸びやかに書くかそれぞれに工夫されている。
 
 ジャリーディーワーニーは装飾点をたくさん入れる書体であるので、出来上がると作品としての存在感はとても強い。ただし、装飾点を入れるのにとても時間がかかるので、1時間に何枚も書いてから選ぶどころか、一枚しかかけない場合も考えられる。そのせいか、今回は参加者がいなかった。
 ファーリシィーは3人、スルスは1人の参加者であった。全体の参加者は昨年よりも若干少なかった。

 1時間のうちで、1~3書体まで書いて提出していいのだが、さすがに2書体が限界で、それ以上提出する参加者はいなかった。
 終了すると、多くの参加者はほっとすると同時に、しばらくは虚脱感がある。それほどこの濃密な一時間は疲れるものだ。

 審査はそれぞれの書体ごとに1席から3席を決め、さらにその中から書体に関わらず完成度の高い書が、総合の金賞・銀賞・銅賞になる。そして、金賞受賞者は栄誉の本田賞受賞にもなる。

◆ これも恒例のチキンケバブやデーツを昼食にいただき、そのあとはスピーチ、大変身近な話題で、しかもアラビア語のスピーチに続けて、そのあらましを日本語でつづけ学習者でなくともスピーチに興味を持つことができるよう工夫されていた。

 最後に、各種競技の結果発表が行なわれた。
アラビア書道は本田孝一先生からの講評が行なわれ、書道の水準が高くなってきており、賞を皆さんに上げたいくらいであるの言葉があった。

◆ 日本の中で、唯一のアラビア語オリンピック、スピーチに出場してアラビア語の世界に羽ばたいていった人もいるだろうし、アラビア書道を人に見られる緊張感を味わったり、参加した書体に自信を持ったりした人も多いだろう。
 こういう場があることに感謝するとともに、アラブ・イスラーム学院主催のアラビア語オリンピックがますます発展し、多くの参加者が勇気を持って一歩を踏み出すきっかけになることを願っている。
 
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by miriyun | 2009-02-14 23:50 | Comments(6)
Commented by orientlibrary at 2009-02-16 09:15
文化の面からアラブ世界に関心と理解が高まるといいですね。皆さんの熱心な様子が想像されます。
アラビア書道は、本当にきれい。色を工夫できるのは日本の書道と少し違うところでしょうか。色のバランスや濃淡など、美術のセンスが必要なのですね。
Commented by miriyun at 2009-02-17 07:05
orientさん、アラブ・イスラーム学院が行なっている文化事業は、アラブ文化の普及に大いに影響していると思います。アラビア書道も日本人が関心を寄せやすい一分野としてアラブとの交流にやくだっていきたいものですね。
Commented by ぺいとん at 2009-02-18 06:15 x
本田先生の作品、見てみたいです。といってももう金賞受賞者の手元にあるのでしょうか。 
卒業式は部外者は行かれないですよね。。。。。 

スピーチも大変素晴らしい内容だったと聞きました。 
沢山の方がイスラームに触れて理解を深めてくれるといいですね~♪
Commented by yumiyane at 2009-02-18 23:55
立場を変えて、ということは、事務局か審査員ですか。
アラビア文化初心者の私は、miriyunさんの書体の説明がちんぷんかんぷんなのですが、知らない世界の文化に興味を持たれた方が一生懸命に学ばれる姿には惹かれるものがあります。
Commented by miriyun at 2009-02-21 08:24
ぺいとんさん、作品は21日に渡されるのでまだ学院にあります。でもそういえば、卒業式だけは関係者だけだったような気がします。
 アラブの文化について関心を持つかたが増えてきていることを感じています。
Commented by miriyun at 2009-02-21 09:16
yumiyaneさん、おっしゃる通りで、審査員としての参加になったので、会場全体をゆったり見る余裕がありました。
 参加者は早くから会場に来て夢中で練習している方が多く、その熱心さが伝わってきました。また、アラブのかたたちも本田賞の作品や参加者の筆遣いに驚きながら見学されていました。
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